こらむ 98 制作の具体的な進行について 5

デジタル表現の特色として途中経過であろうと完成作品であろうと、全てが「保存」すれば即「資料」となることを考えておきたい。取材してきたものだけが「資料」ではなく、意思を持って「保存」すればそれだけ豊かな「資料の山」となるのである。キャンバスに描く絵描きは時々古い作品をつぶして上から作品を描くことがある。古キャンの下に塗られた前の絵のマチエルなどを時々生かそうとしたりする。デジタル表現においては、以前の作品が表現の刺激として、表現のきっかけとして、表現の出発点とし活用することが出来るのである。元の作品はキャンバスとは異なり、つぶされることも無くデータとして残っているので、何度でも心置きなく作業が進められるのである。私が参加しているグループ、SPACE展で昨年のテーマが『変容・変質・変成』であった。そこで私自身がどのように変化しているかを作品制作の上で試みたのである。10数年前に発表した作品の中から5点を選び、それを元データとして「今の私がどのように制作するか」によって「私の変化状況」をあぶり出そうという試みであった。10年前の作品を生かしながらも、今の私がどれだけ飛躍的変化があったのか作品上で示すことが要求されての作業であった。原画はA3大のものであったがこのグループ展の会場では’A1ノビ大の作品となり、約15メートルの壁面に23点が展示された。ついでにそれぞれの作品についてA4サイズでプリントアウトされた作品を20点づつ綴ったファイル5冊計100点が提供されたのである。この手法はこれからも永遠に続く、果てしない闘いでもあるのだ。このようなことが一般的な方法論として確立しても良いとさえ考えている。下にその時展示した1996〜1998年の作品5点を左側に、それを元にして制作した作品の中から各2点計点を掲載する。タイトルをクリック、作品上でクリックで拡大してどうぞ。

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